パソラーです

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第一志望

この漢字4文字で、目前の視界に実体のない夢やら希望やら未来が透けて見えるのは幾度あるかないかの受験と就職活動のときのみだろう。

 
 
先日就職活動が終わった。
 
そもそも大学受験で「第一志望」を2度受けた末、高校時代に予想もしなかったところに通っている私は、同級生たちとの1年の差を埋めるぞという気合いを胸に大学生活を過ごしてきた。
この焦りなのか負け惜しみなのかもわからない虚勢と、周りの大人から自分に向けられた期待と、自分のイメージを保つための世間体から作り出された「第一志望」は、結局その姿形を感じることなく融けるように消えた。
落ちたときのショックは相当なものだった。なにせ2, 3年前からこの会社に入るぞと周囲に公言していたほどである。しかし多めの大学受験のせいか、表向きは思ったほど落ち込んでいない。 
 
一番つらいのは周りの大人の期待だ。多くの人たちを裏切ってしまったような気さえしてくる。
 
ただこれは、裏切ったことによって自分が嫌われるのが恐いのだ。無能だと思われるのが恐いのだ。落ちて平静を装っているのは、強い自分を演じているだけだ。結局は最初から最後まで世間体を守るためにしていることに過ぎない。本当はなにも考えずに誰もいないような所に行きたいし、なりふり構わず泣きたいくらいだ。
 
第一志望が進路になるのがよいのかどうかはここではどうでもいい。第一志望じゃなくても結果が良ければいいじゃないかなんてここではどうでもいい。
 
二度とこの4文字に胸を躍らせることのなくなったであろう今、いろんな祈りとか不安とか期待とかをかき混ぜながら、残る学生生活を想う。