まつもとゆきひろさんの話を聞いてきた話
概要
に行ってきた。以下メモ。
まえおき
現代は死にやすい
エントリーシートは史上最悪の発明
クリックひとつで数百社にエントリーできるのはテクノロジーっちゃあテクノロジーだが人事担当者も就活生も幸せにならない。
年寄りはポジションを既に確立している
若者はポジションを得るのに必死
その段階で罠にかかることが多い。
若いうちに無駄にする時間は無い
偉人を見ていても若い頃のほうが功績が大きいことが多い、Ruby を開発したのは27の頃。
20代は体力があり、思考も柔軟。(30代で遅いということもない)
とりあえず3年様子を見るなんていう暇はない。
学生時代と社会の違い
学生時代
万能性が求められる。苦手を克服するのがよい。均質性に価値がある。
戦前戦中のように代替可能な存在を育成されている。
社会
満点が無い。苦手を克服するという戦略が効かなくなる。
長所を伸ばし、欠点は他のリソースで補う。
ルールが変わっている
ちょっと考えればわかる社会でのルールの変化に気づかない、気づこうとしない人が多い。言ってしまえば社会みんなで学生気分。
それでも年寄りはポジションがあるので押し通せる。割を食うのは若者。
生存する裏技1
学生時代と社会でルールが違うことを認識する
組織の中で自分だけが気づいているならそれは武器になる。
自分の長所を認識することが大事。
生存する裏技2
取引
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- Win-Win
- No Deal
だけ。
持続可能でない取引からは逃げてもいい。
我慢しない
空気を読む必要はない。自分の直感に従うべき。取り返せないミスはそうそうない。
生存する裏技3
成功談はアテにならない
伝記が出る頃には社会が変わっている。そのままは使えない。
伝記を書く頃には本人が覚えていないし、話が盛られる。
パターン認識
成功者には、学歴でも資産でもなくパターン認識能力に相関があった。
過去の成功談からパターンを学ぶことが大事。
抽象化
抽象度が高いものは寿命が長い。アプリケーションの教科書よりもアルゴリズムの教科書のほうが長く使われる。
抽象化は特にこの職業で求められるが、漏れると途端に全体が崩れるので注意。
ブラック企業
プログラマ3大美徳
- 怠惰
- 短期
- 傲慢
これらは人間に向かっていくと悪い方向に行く。自分のプログラミングに向かっていくと良い。
労働とは
我慢に対するものではなく、価値創造の対価。
苦痛に耐えることが良いことではない。これは上から下まで総勘違いしていることが多い。
理不尽は拒否するべき。
残業時間増加
- 集中
優秀な人に仕事が集まる。 - 感染
「あの人が残ってるのに帰れない」 - 麻痺
「昨日も今日も大丈夫だったから明日も大丈夫だろう」
この恒常性バイアスは怖い。自分の認知に関わらず、死ぬときは死ぬ。
日本語
「頑張れ」はうまく外国語で訳せない。日本語はカジュアルに我慢を強要する言語。
直感に従う
興味は他人の決めた尺度で決める必要はない。
死なないためには逃げても良い。
頑張る、我慢するのは過程であって目的ではない。「こっちに行けば幸せになりそう」という直感に従う。
思い込みはインバリデーションのないキャッシュ
学生時代からの慣性はかなり大きい。現実は常に変わっていくことに気づくべき。 キャッシュミスのコストは積極的に払う。
逆張り
鶏口牛後。大多数が選ぶ選択肢より常に少数に回る。同調圧力には鈍感になる。
コントロール意識
人間は叱られた途端にコントロール意識を失い生産性が60%落ちる。
プログラミングで面白いのは万能感だよね。
インプット/アウトプット
インプットは差別化要因にならない。
アウトプットの邪魔をするのは思い込み
YouTuber は一見誰でもできるようなことをやっているが、やっているかどうかが差。
クオリティはとりあえず置いてやるしかない。
感想
以下感想。
とにかく Matz がいい人。あんだけの功績を残した人がこんなんでいいのかと思うくらい。
パターン認識はもともと得意だと思っていたがもう少し意識的にやってみるかと思った。なにか定量的にこの手の能力が測れる手段があれば教えてください。
残業時間が増える件はちょうど最近「麻痺」するまで体験したので身にしみた。危ない。生存戦略を持つぞ。
今現在、自分が社内でどうするか揺れている時期だったので、直感に従って空気を読まずにやっていこうと決心できた。話を聞けてよかった。